国立天文台が進めているALMA計画の近況報告と、これから行われる一般向け講演会等についてのご案内をお送りします。
11月22日、チリ・サンティアゴでのアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会合への出席した小泉総理大臣は、引き続きチリを公式訪問し、ラゴス大統領と首脳会談を行いました。その中でアルマ計画に関する話題もとりあげられました。
文部科学省からALMA計画の推進に関して来年度分として30億3900万円が要求されました。これにはALMAの開発を行うための高度環境試験棟の第二期工事分も含まれています。これに対して今年も例年と同様に総合科学技術会議による評価が行われ、ALMA計画の評価はS-A-B-CのうちのAランク(重要な施策等であり、着実に実施すべきもの)として位置づけられています。
日本のプロジェクト推進体制が整備されつつあり、開発も着々と進められています。アンテナに関しては調達の準備が進められており、受信機については、ミリ波帯ではその心臓部ともいえるミキサ部分についてほぼ仕様を満足する結果が得られ、サブミリ波帯でも評価用受信機が完成し各種の測定が進められています。相関器については9月30日に3年間の製造契約が締結され、国内のメーカにおいて製造が開始されています。
国際的にも大きな動きがありました。9月14日にALMA共同建設協定書の署名が完了して日本が正式に参加したことにより、ALMA計画の最高レベルの意思決定機関であるALMA評議会にも日本の代表を送ることができるようになり、11月初旬にはチリの山麓施設においてその会議が開催されました。また、11月1日にはチリのサンチャゴにあるオフィスビルの18階に合同ALMA事務所が開設され、開所式が行われました。まだ内装工事が進められている途中ではありますが、すでにプロジェクトディレクタやプロジェクトマネージャはここに拠点をおいて活動を開始しています。当然のことながら日本からのチームのための部屋も用意されており、部屋の窓からは眼下のサンチャゴのオフィス街の喧騒とともに、遠くアンデスの山並みも望むことができます。
ALMAへの正式参加を期に、ALMAが目指す天文学研究について広くお伝えするために、第5回のALMA公開講演会は例年よりもかなり大きめの会場とし、下記のように12月5日に都心で開催することにしました。まだ席には余裕がありますので、お誘い併せのうえ参加登録をお願いします。また、この講演会に合わせて12月初旬に日本評論社から「私たちは暗黒宇宙から生まれた 〜 宇宙137億年を解き明かすALMAプロジェクト」が刊行されます。
この書籍は会場で特別価格にて販売されます。宇宙誕生から生命誕生に至るテーマを日本を代表する執筆者陣が分担して概観したほか、小柴昌俊先生による特別寄稿も含まれていますのでご期待ください。
ALMAの完成とそれを用いた研究の早期実現に向けて、引き続き皆様のご支援をお願いいたします。
◎第5回ALMA公開講演会 「惑星と生命の起源を求めて 〜 いよいよ始まるALMAの建設 〜」 日時:2004年12月 5日(日) 13:00〜17:00 場所:有楽町朝日ホール 備考:参加登録受付中 http://www.nro.nao.ac.jp/~lmsa/koenkai/041205/ ◎天文講演会「ALMA計画(仮)」 日時:2005年 2月13日(日) 場所:西はりま天文公園 備考:http://www.nhao.go.jp/nhao/lecture/2004.html ※最新情報についてはALMAのホームページ http://www.nro.nao.ac.jp/alma/ をご覧下さい。 参照:外務省 小泉総理大臣のチリ公式訪問 http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/apec_04/homon_chile.html 外務省 日本・チリ共同新聞発表 http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/apec_04/j_chile_sh.html 総合科学技術会議 平成17年度概算要求における科学技術関係策の優先順位について http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu40/siryo1-5.pdf 日本評論社 私たちは暗黒宇宙から生まれた 宇宙史137億年を解き明かすALMAプロジェクト https://sslserver.sbs-serv.net/nippyo/korekara/bookinfo.asp?No=2471 [alma-supporter 19] ALMAニュースリリース (2004年秋号) http://www.nro.nao.ac.jp/~lmsa/newsletter-j/news_20041124.txt ALMA http://www.nro.nao.ac.jp/alma/
2004年11月26日 国立天文台・広報普及室
※ALMA = Atacama Large Millimeter/submillimeter Array アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計 "Alma" は、チリの公用語のスペイン語で「こころ」、「たましい」、 「いとしい人」という意味を持っています。
※国立天文台 4次元デジタル宇宙プロジェクト 内容:太陽系を超えて(予定) 日時: 2004年12月25日(土) 16:00〜18:00 参照:http://th.nao.ac.jp/~4d2u/4D2U/publicity12.html ・お申込みは往復葉書で 「4次元デジタル宇宙プロジェクト シアタ−公開係」宛にお願いします。 ※国立天文台 公開講演会 内容:天の川の起源と太陽系の起源 〜 スーパーコンピュータで探る宇宙の謎 〜 日時: 2005年 1月29日 (土) 13時30分〜 16時30分 参照:http://www.nao.ac.jp/open_lecture/index.html ・お申込みは往復葉書で「広報普及室 公開講演会係」宛にお願いします。