「天地明察」ゆかりの貴重書、4月18日に現物を公開

 国立天文台図書室は、江戸幕府天文方が所蔵していた和漢書を中心に、天文・暦・和算関係の貴重資料を約3000冊所蔵しています。

 図書室ではこれらの資料を広く知っていただくことを目的に、同天文台暦計算室との合同企画「国立天文台所蔵貴重書常設展示」を、国立天文台三鷹キャンパス内にて行っています。展示は半年ごとに入れ替えを行っており、この4月で第42回を迎えます。

 さて、この42回を迎えるにあたり、作家の冲方丁 (うぶかたとう) 氏が書いた時代小説「天地明察」に焦点を当て、この小説に登場する資料の中から図書室が所蔵するものを選んで展示を行うこととなりました。

 ご存じの方も多いと思いますが、「天地明察」は、江戸時代前期の天文学者・渋川春海 (しぶかわはるみ) が、実態と合わなくなっていた日本の暦を823年ぶりに改訂する大事業に関わっていく過程を生き生きと描き出したものです。2009年末の刊行以来世評が高く、3月に「吉川英治文学新人賞」を受賞したほか、全国の書店員による投票で大賞を選ぶ「2010年本屋大賞」のノミネート10作品中の1作にも選ばれています。

 従来の「貴重書常設展示」では複製を展示しており、現物は毎年秋の「三鷹・星と宇宙の日」 (旧称:三鷹地区特別公開) の1日のみの展示としていますが、今回は、複製展示のほか、会期最初の日曜日である4月18日の1日のみ貴重書の現物数点を一般に公開することとしました。公開予定の資料は、貞享暦、天経或問、日本長暦など、いずれも「天地明察」に登場するものです。

 これを機会に、新緑の美しい国立天文台三鷹地区の常時公開コースと合わせてのご見学をお待ちしております。

○国立天文台所蔵貴重書常設展示
 第42回展示「渋川春海と『天地明察』」
 日程:2010年4月17日 (土) から10月22日 (金) まで 10時-17時
    ※4月18日 (日) のみ現物展示、ほかは複製展示となります
 会場:国立天文台三鷹キャンパス (東京都三鷹市大沢2-21-1)
    天文台歴史館1階
 内容:貞享暦、天経或問、日本長暦など

参照:

2010年4月12日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)