元日の早朝に起こった部分月食に続いて、1月15日には日食が起こります。インド洋や中国などの一部の地域では金環日食になりますが、日本では部分日食となります。ただし、現象が日の入りに近い時刻に起こるため、日本で見られるのは西日本だけで、それも欠けたまま太陽が沈む日入帯食となります。
日食は、月食とは逆に、太陽−月−地球が直線に並び、月が太陽を覆い隠し、太陽の一部または全部が見えなくなる現象です。太陽全体が月に覆い隠されると昨年の7月に起こったような皆既日食となりますが、今回は、地球から月の距離がふだんより遠く、また太陽と地球の距離はふだんより近いために、月が太陽全体を覆い隠すことはありません。そのために、アフリカからインド洋、中国にかけての一部の地域では、太陽の縁が月の外側にはみ出し、ドーナツ状に光って見える金環日食となります。今回の金環日食は、その継続時間が長いことが特徴です。最も長い場所では11分4秒となり、これは今の千年紀 (2001-3000年) では最長となります。
日本は、残念ながら今回の金環日食が見える範囲からは外れています。そのために部分日食となるのですが、日食が起こる時刻が日の入り前後であるために、日の入りの時刻が早い東日本では見ることができません。西日本でも、部分日食のまま欠けた太陽が沈んでいく、日入帯食になります。西に行くほど条件が良く、沖縄ではほぼ日の入り時に日食が最大となり、視直径の6割ほどが欠けた太陽が沈んでいくのが観察できるでしょう。西日本では、低空まで晴れていれば、欠けた太陽が赤くなって沈んでいく様子を眺めることができるかもしれません。
なお、部分日食は、欠けて見えているとはいえ、太陽そのものがまだ大部分見えていますので、直接、肉眼で太陽を見てしまうと目を痛めてしまいます。地平線付近まで沈んだ太陽は、だいぶ暗くなったように思えますが、直視するのは危険です。部分日食の観察には、太陽の光を減光する日食グラスなどが必要ですので、ぜひ注意しましょう。
次回、日本で部分日食が見られるのは2011年6月2日で、今度は東北地方よりも北の地域で見ることができます。また、金環日食が見られるのは、2012年5月21日となります。このときには、関東から東海・近畿・四国・九州南部という広い範囲で金環日食が起こり、他の地域でも部分日食が見られます。
2010年1月8日 国立天文台・広報室