今年の9月4日、約14年ぶりとなる環の消失現象が起こります。残念ながらその頃の土星は、見かけの位置が太陽に近いため観察するのは困難ですが、珍しいこの現象に注目してみましょう。
土星は、自転軸の傾きを同じ方向に向けたまま、太陽のまわりを約30年かけて一周 (公転) しています。そのため、地球から見たときの環の傾きは、約15年周期で大きくなったり小さくなったりする変化を繰り返していて、環の消失現象もその周期で起こります。前回環が消失したのは、1995年から1996年にかけてのことです。
国立天文台では、この環の消失現象が起こるしくみを広く理解していただこうと、環の消失現象の解説ページを公開するとともに、動きによってわかりやすく現象を解説するムービーを作成しました。解説ムービーは、解説ページ (ウェブ) からご覧になれますので、ぜひご参照ください。
現在土星は、夕方に南西ないし西の空に見られます。7月になると、西空低くなってしまいだんだんと観察しづらくなります。このため、条件よく観察できる6月のうちに、傾きが小さいために環が細く見える土星の姿を望遠鏡で観察してみてはいかがでしょうか。
2009年6月10日 国立天文台・広報室