山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、6月1日 (世界時、以下同じ) の観測から、15.7等の超新星を発見しました。この超新星は、アンドロメダ座方向にある NGC 846 銀河の中にあり、板垣さんご自身所有の口径60センチメートル反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測 (限界等級19.0等) により撮影されたたくさんの画像の中から発見されました。
この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2009fu」と命名されました。
この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通り。
発見日時 2009年6月1.746日 = 6月1日17時54分 (世界時) 赤経 2時 12分 09.00秒 赤緯 +44度 33分 55.0秒 (2000年分点) 発見等級 15.7等
この超新星は NGC 846 銀河の中心から西に36秒角、南に11秒角離れた位置にあります。
板垣さんは、3月17日とそれ以前にもこの場所を観測していましたが、そのときの画像 (限界等級は18.0-19.0等) にはこの天体は写っていませんでした。またDSS (注) の画像にも、この天体は写っていませんでした。
また、茨城県つくば市の清田誠一郎 (きよたせいいちろう) さんは、6月3.45日に米国ニューメキシコ州のMayhill近くにある口径30センチメートル反射望遠鏡を遠隔操作し、撮影したCCD画像にこの天体を15.7等で確認したと報告しています。
この銀河には2003年10月に17.1等の超新星「2003ja」が発見されています。
板垣さんによる超新星発見は、今年に入って3個目で、また今回の発見を含めた超新星の通算発見数は47個 (独立発見を含む) となりました。日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。
注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。
2009年6月5日 国立天文台・広報室