現在、ルーリン彗星という彗星 (ほうき星) が地球に接近中です。2月24日に地球に最接近するこの彗星を観察してみませんか。
ルーリン彗星 (仮符号:C/2007 N3) は、2007年7月に台湾のルーリン (鹿林) 天文台で行われた観測から発見された彗星です。発見当初は太陽から遠く、明るさも18.9等でとても暗い天体でした。その後、およそ1年半かけて太陽に近づいていき、先日1月10日に太陽に最接近しました。現在、彗星は太陽から遠ざかりつつありますが、2月24日に地球に0.41天文単位 (注) まで接近し、4等ないし6等級の光度まで明るくなると予想されています。暗い夜空のもとならば、肉眼でかすかに見えるかもしれません。また、空の明るい市街地でも、双眼鏡を用いれば観察できそうな明るさです。
そこで国立天文台では、多くの方にこのルーリン彗星を観察してもらおうと、地球最接近をはさんだ2月20日夜から3月1日夜までの間「ルーリン彗星見えるかな?」キャンペーンを行うことにしました。この期間中に肉眼や双眼鏡などでこのルーリン彗星を観察し、彗星が見えたかどうかなどをキャンペーンページから報告していただくというものです。携帯電話からでも参加できますので、今まで彗星を見たことがないという方もぜひチャレンジしてみてください。
ルーリン彗星は、現在おとめ座の方向に見えていて、キャンペーンの期間中にしし座へと移動していきます。この間、2月23日夜と24日夜は土星の近くを、また2月27日夜と28日夜はしし座の一等星レグルスの近くを移動していきます。一般的な双眼鏡で見ると、視野の中でこれらの天体とルーリン彗星を一緒に見ることができるため、彗星を見つけやすいでしょう。
また彗星は、地球軌道の外側で、地球とすれ違うようにして接近するため、比較的速いスピードで夜空を移動します。双眼鏡や望遠鏡を使い、何時間かに渡って詳しく見ていくと、彗星が他の星に対して移動していくのがわかるかもしれません。
なお、彗星の特徴とも言うべき尾の見え方ですが、ルーリン彗星が接近するこの期間は、地球から見て太陽とほぼ正反対の方向に彗星が位置します。このような場合には、彗星の尾が、地球から見て彗星の向こう側 (奥側) に伸びてしまいますので、あまり長く伸びては見えないと予想されます。またもし見える場合でも、肉眼で確認するのは難しいかもしれません。双眼鏡や望遠鏡ならば、かすかな尾がわかるかもしれませんので、注意をはらってください。
彗星はとても淡く、観察するのが難しい天体ですが、位置や見つけ方の解説をキャンペーンページに掲載していますので、そちらを参考にぜひ観察にのぞんでください。
注:1天文単位は太陽から地球までの平均距離に相当し、キロメートルに換算すると1億4959万7870キロメートルになる。
2009年2月12日 国立天文台・広報室