板垣さん、M31銀河の背後に超新星を発見

 11月26日に山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんによってM31 (= NGC 224、通称:アンドロメダ銀河) の方向に発見された新星状の天体が、実はM31銀河の背後にある遠い銀河の中に出現した超新星であることが判明しました。

 板垣さんは、11月26、28、29日 (世界時、以下同じ) の観測から、18.2等の新天体をM31銀河の方向に発見しました。この天体は、当初、その光度からM31銀河の中に出現した新星であると報告され、新星として「M31N 2008-11c」と命名されました。しかしその後、米国のカリフォルニア工科大学の R. M. Quimby さんと M. M. Kasliwal さんが、パロマー天文台にある口径5メートルのヘール望遠鏡を使用して、12月4日にこの天体の分光観測を行った結果、この天体が示すスペクトルの特徴から、M31銀河よりもはるか遠方にある、極大期付近の通常のIa型 () 超新星であることが判明しました。この報告を受け、この天体は超新星「2008hz」と新たに命名されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通り。

発見日時 2008年11月26.498日 = 11月26日11時57分 (世界時)
赤経 0時 43分 18.62秒
赤緯 +42度 10分 14.2秒 (2000年分点)
発見等級 18.2等

 なお、九州大学の山岡均 (やまおかひとし) さんは、この天体の北東にあるぼんやりとした拡散状の天体が、母銀河であろうと付け加えています。

 今年の板垣さんによる超新星発見は、11月に発見した NGC 3672 銀河の超新星「2008gz」に続き、8個目となりました。今回の発見を含め、板垣さんの超新星発見数は通算42個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。

:超新星とは星が大爆発を起こして通常の数億倍から数百億倍の明るさで輝く現象をいう。大きく分けて2つの種類が知られており、白色矮星がなんらかの理由で限界質量を超えて爆発するものと、太陽よりもずっと重い星が一生の最期に重力崩壊を起こして爆発するものがある。スペクトルの特徴から、前者はIa型、後者はIb型、Ic型、II型と観測的に分類されている。

参照:

2008年12月9日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)