板垣さん、NGC 3672 銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、11月5日 (世界時、以下同じ) の観測から、16.2等の超新星を発見しました。この超新星は、コップ座方向にある NGC 3672 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60センチメートルの反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測 (限界等級19.0等) により撮影された画像の中から発見されました。

 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2008gz」と命名されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通り。

発見日時 2008年11月5.83日前後 = 11月5日19時55分前後 (世界時)
赤経 11時 25分 03.24秒
赤緯 -9度 47分 51.0秒 (2000年分点)
発見等級 16.2等

 この超新星は NGC 3672 銀河の中心から東に13秒角、南に7秒角離れた位置にあります。

 板垣さんが、3カ月ほど前にこの場所を観測したときの画像 (限界等級19.0等)には、この天体は写っていませんでした。また、DSS () の画像でも、この位 置には何も天体は写っていませんでした。

 また、パース天文台 (オーストラリア) の口径61センチメートル反射望遠鏡を使用した超新星自動捜索観測で11月7.841日と11月8.838日に得られた画像の中に、約15.5等の同一の天体が写っていることがR.Martinさんによって報告され、この超新星の独立発見となりました。パース天文台では、6月19日にもこの場所を観測していましたが (限界等級不明)、この天体は写っていませんでした。

 なお、この銀河には、2007年に超新星「2007bm」が出現しています。

 今年の板垣さんによる超新星発見は、9月の NGC 3147 銀河の超新星「2008fv」に続き、7個目となりました。今回の発見を含め、板垣さんの超新星発見数は通算41個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。

:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

参照:

2008年11月11日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)