東京工業大学、神戸大学、東海大学、国立天文台などの研究者からなる研究グループは、国立天文台 岡山天体物理観測所の188センチメートル反射望遠鏡を用いて、進化した恒星である「巨星」の周りに惑星を7個発見しました。これまで、太陽系外惑星は300個程度発見されていますが、巨星の回りでは20個程度しか見つかっていません。今回報告された惑星は、いずれも太陽よりも重い恒星の周りで発見されており、惑星系が形成される際の条件や、惑星の進化を探るヒントを与えてくれます。
系外惑星の多くは、質量や年齢が太陽と同じくらいの恒星の周りで見つかっています。しかし、宇宙には、太陽とは異なる質量や年齢の恒星がたくさんあります。惑星系が形成される条件や惑星系の進化を明らかにするためには、様々な特徴を持つ恒星の周りにある惑星系を調べることが必要です。
しかし一方で、太陽と異なる年齢や質量の恒星では、観測的制約から惑星を検出することが難しく、惑星探しは積極的に行われているとは言えない状況です。特に、太陽よりも質量が大きな恒星は、一般に恒星表面の活動が活発なことから、その周りの惑星の検出は難しいと言われています。
研究グループは、進化した恒星である巨星に着目しました。太陽よりも質量が大きな恒星でも巨星と呼ばれる進化段階にあれば、恒星表面の活動が比較的低く、その周りの惑星を探すことができます。
こうして、2001年からこのような巨星を対象とした系外惑星探しを開始し、世界に先駆けて、巨星の周りの惑星を発見してきました。そして、太陽の数倍の質量を持つ恒星にも惑星系が存在することを明らかにしてきたのです。今回は、新たに7個の惑星の発見が報告されています。
これまで、巨星で見つかった惑星は、すべて木星型のガス惑星と推定され、中心星から約0.7天文単位 (金星軌道に相当) よりも離れた軌道を持っています。一方、太陽と同程度の質量を持つ恒星の場合、これより内側の軌道を持つ木星型惑星が多数見つかっています。
この原因には二つの可能性が考えられます。重い恒星のすぐ近くにはもともと木星型惑星が存在しないか、もしくは、恒星が進化する過程で過去に大きく膨張して内側の惑星を飲み込んでしまったか、という可能性です。どちらの説が正しいか、今後の研究が期待されます。
2008年10月15日 国立天文台・広報室