板垣さん、NGC 3404 銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、4月14日 (世界時、以下同じ) の観測から、16.6等の超新星を発見しました。この超新星は、うみへび座方向にある NGC 3404 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60センチメートルの反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測により撮影された画像の中から発見されました。

 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2008bt」と命名されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級 (位置と等級は板垣さんが画像から測定した値) は次の通り。

発見日時 2008年4月14.548日 = 4月14日13時09分 (世界時)
赤経 10時 50分 16.99秒
赤緯 -12度 06分 31.5秒 (2000年分点)
発見等級 16.6等

 この超新星は NGC 3404 銀河の中心から西に14秒角、南に1.1秒角離れた位置にあります。 また、この超新星は4月13.23日に米国の D. Winslow さん (カリフォルニア大学バークレー校) らのグループによりCCD画像の撮影がされており、このグループによる発見が32時間ほど早いのですが、板垣さんによる発見も独立発見となりました。

 4月15.16日には、米国の別のグループによってこの超新星の分光観測が行われ、その結果、この超新星は連星系の一方の星が進化し、極大光度付近に達したものであることがわかりました。

 板垣さんは、2006年2月23日と今年の4月4.54日にもこの場所を撮影していましたが、そのときの画像 (限界等級はそれぞれ19.0等と18.5等) にはこの超新星は写っていませんでした。また、板垣さんは、この超新星はDSS (注) に写っていなかったと付け加えています。

 板垣さんによる超新星発見は、今年に入ってからこれで4個目となりました。今回の超新星発見を含め、板垣さんの超新星の発見数は通算38個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。

:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

参照:

2008年4月17日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)