板垣さん、NGC 1200 銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、1月27日 (世界時、以下同じ) の観測から、15.5等の超新星を発見しました。この超新星は、エリダヌス座方向にある NGC 1200 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60センチメートルの反射式望遠鏡を用いたCCD観測により撮影された多数の画像の中から発見されました。

 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、超新星「2008R」と命名されました。

 発見日時、位置、発見等級は次の通り。

発見日時 2008年1月27.45日 = 1月27日10時48分 (世界時)
赤経 3時 03分 53.70秒
赤緯 -11度 59分 39.4秒 (2000年分点)
発見等級 15.5等

 この超新星は NGC 1200 銀河の中心から、西に12秒角、南に9秒角離れた位置にあります。板垣さんは、2006年8月と、それ以前にもこの場所を撮影していましたが、そのときの画像 (限界等級は19.0等) にはこの天体は写っていませんでした。また、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんも、1月27.51日に15.6等でこの天体を観測しています。同中央局の未同定天体情報のウェブページにこの発見が掲載されたあとに、イタリアの P. Corelli さんも1月27.786日にこの天体を16.4等で観測したことを報告しており、また、DSS() にこの天体が写っていなかったことも付け加えています。さらに、1月28.838日に撮影した多数の画像から、この超新星が14.6等まで増光したことも指摘しています。

 板垣さんは、昨年7個の超新星を発見しましたが、今年に入ってからもすでに2個目の超新星発見と、ハイペースの発見が続いています。また、今年に入ってから日本人が発見した超新星の数はすでに4個にのぼっており、驚異的な発見ペースとなっています。今回の超新星発見を含め、板垣さんの超新星の発見数は通算36個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。

:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。今回の P. Corelli さんによる報告には、限界等級は赤色領域で20-21等と記述されている。

参照:

2008年1月29日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)