神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治 (ひろせようじ) さんは、昨年12月31日 (世界時、以下同じ) の観測から、17.2等の超新星を発見しました。この超新星は、やまねこ座方向にある NGC 2770銀河の中にあり、口径35センチメートルのシュミット・カセグレン式反射望遠鏡 (f/6.8) を用いたCCD観測により撮影された10枚の画像 (限界等級18.0等) の中から発見されました。
この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、超新星は「2007uy」と命名されました。
発見日時、位置、等級は次の通り (ただし、位置は広瀬さんから寄せられた画像から中野さんが測定した値)。
発見日時 2007年12月31.669日 = 12月31日16時3分 (世界時) 赤経 9時 09分 35.40秒 赤緯 +33度 07分 09.9秒 (2000年分点) 発見等級 17.2等
この超新星は NGC 2770 銀河の中心から、東に20.6秒角、南に15.5秒角離れた位置にあります。広瀬さんは、2007年3月7日と12月18日にも同じ場所を観測していますが、この天体は写っていませんでした。また、過去のDSS (注1) 画像にもこの超新星は写っていませんでした。
埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんは2007年12月31.786日に17.3等、広瀬さんは2008年1月1.595日に17.0等、山形県山形市の板垣公一(いたがきこういち) さんは1月1.651日に16.9等、イタリアの P.Corelli さんは1月1.885日に16.8等の観測値を得ています。
米国のホイップル天文台で、1月3日、1.5メートル望遠鏡を用いて分光観測を行った結果、スペクトル線に現れる吸収線の特徴が、明るさが極大光度に達する前のIb型を示しており、重力崩壊型の超新星爆発であると考えられます。
アマチュア天文家の広瀬さんは、2002年に2個、2005年に1個の超新星を発見しており、今回の発見を加えて計4個の発見となりました。広瀬さんは、日本天文学会より2003年に天体発見賞と天体発見功労賞を受賞、さらに、2006年にも天体発見賞を受賞しています。
これで2007年の日本人による超新星の発見数 (注2) は11個となりました。
注1:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。
注2:日本人が含まれるプロジェクトの観測による発見を除く数。
2008年1月4日 国立天文台・広報室