昨年、予想を超える出現を見せたオリオン座流星群が、まもなく極大を迎えます。はたして今年の出現はどうなるのか、その動向に注目が集まっています。
オリオン座流星群は、毎年10月中旬から下旬に活動する流星群です。ハレー彗星から放出されるダスト (砂粒) の流れが、この時期に地球と遭遇し、そのダストが地球大気に飛び込んで流星となるものです。ただ普段の年は、空の暗いところで観察しても1時間にせいぜい10-20個程度しか出現しない、中規模の流星群でした。
ところが昨年のオリオン座流星群は、少なくともこの倍の規模の活動を見せ、国内では1時間あたり100個以上の流星が観測されるなど、過去最大級の出現を記録しました。
この活発な出現を解明するため、国立天文台の佐藤幹哉 (さとうみきや) 広報普及員と渡部潤一 (わたなべじゅんいち) 准教授は、ハレー彗星から放出されたダストの分布をダスト・トレイル理論を用いて計算しました。その結果、2006年には、紀元前1266年、同1198年、同911年に放出された古いダストからなるダスト・トレイルに地球が遭遇し、活発になったことを解明したのです。この研究成果は、8月25日に発行された日本天文学会欧文研究報告に掲載されました。
その後、さらに計算を進めた結果、2006年には及ばないものの、2007年にも流星群の出現数が増える可能性があることが判明しました。ダスト・トレイルと地球との接近は、10月20日8時頃 (紀元前1266年放出、時刻は日本標準時、以下同じ) と10月22日2時-5時頃 (紀元前1198年放出) と予報されます。日本では、後者の時間帯で観測条件がよいのですが、予報時刻は数時間ずれる可能性もあり、放射点が昇る10月21日22時頃から空が明るくなる22日5時頃まで、注意して観察する必要があります。
出現数は昨年よりも少ないと予想され、例年 (1時間に10-20個) よりも少し多い程度でしょう。また市街地など明るい空のもとでは、さらに少なくなってしまいます。しかし、計算された年代よりもずっと前に放出されたダストの影響で、もっと多く出現する可能性も否定できません。いずれにしても今年の出現を観測することは、ハレー彗星とオリオン座流星群の関係を研究するうえで、とても重要と言えるでしょう。いにしえのハレー彗星が起源のオリオン座流星群に、ぜひご注目ください。
2007年10月15日 国立天文台・広報室