現在、夕方の空で明るく輝いて見えている木星が、今年の観察シーズンの終盤を迎えています。日本望遠鏡工業会とともに「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーンを展開している国立天文台では、この木星面を望遠鏡で撮影したビデオ映像をインターネットを通じてライブ中継することにしました。
木星は12月23日に合 (ごう:注1) となり、見かけの位置が太陽と近くなるため、11月から来年の1月にかけて約3カ月間観察できなくなります。来年2月頃になれば、明け方の東の空で観察できるようになりますが、夕方から夜の観察しやすい時間帯に見るためには5月以降まで待たなければなりません。そこで、夕方に見ることができる10月のこの時期に、多くのみなさんに木星に注目してもらおうと、次の日程でインターネット中継を行うことにしました。
中継日:10月9日 (火) および10月10日 (水) の2日間 中継時間:17:30-18:45 (予定:天候などによって若干変更する場合があります) 使用望遠鏡:社会教育用公開望遠鏡 (50cm反射望遠鏡) 中継ページ:http://www.nao.ac.jp/phenomena/20071009/
木星は、主成分がガス物質の巨大ガス惑星です。表面に見える模様は、アンモニアやメタンといった物質からなる雲でできており、模様が比較的変化します。今年は、16年ぶりに南赤道縞が淡化 (注2) したり、14年ぶりに南赤道縞攪乱 (かくらん:注3) が起こったりするなど注目される現象が相次いで見られ、木星面の模様が激しく変化した年でした。中継では、これらの現象を表す細かい模様までは確認できそうにありませんが、現在の木星面に見られる縞模様の様子などをお伝えできることでしょう。また大赤斑 (だいせきはん) と呼ばれる台風のような模様も見られるかもしれません。みなさま、ぜひご覧ください。
また木星は現在、一番星として見られるなど、肉眼でもその存在を簡単に確認できる明るい惑星です。中継映像だけではなく、実際の夜空で木星をさがして「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーンにも参加してみてはいかがでしょうか。
注1:地球−太陽−木星がほぼ一直線に並ぶこと。
注2:本来暗い部分である南赤道縞が、淡く白っぽくなる現象。
注3:淡化した南赤道縞に黒い模様が出現して、再び縞が濃く暗くなる現象。
2007年10月3日 国立天文台・広報室