8月28日の夕方から夜にかけて、全国で皆既月食が見られます。地球の影の中に月がすっぽりと入ってしまうこの現象が全国で見られるのは、2001年1月以来6年ぶりのことです。夕刻から夜という観察しやすい時間帯に起こりますので、ぜひ観察してみませんか。
月食は、太陽−地球−月が一直線に並んで、月が地球の影に入ることで暗くなり、まるで月が欠けてしまったかのように見える現象です。月の一部だけが地球の影 (本影) に入ると、部分食 (部分月食) となります。今回はさらに月が全部影に入ってしまう皆既食 (皆既月食) が見られます。
今回の月食の経過は次のとおりです。
月食の始め :17時50.9分 (※月が地平線の下で観察できない) 皆既食の始め :18時52.0分 食の最大 :19時37.4分 皆既食の終わり:20時22.7分 月食の終わり :21時23.8分
月食の始めは、日本のほとんどの地域で月が地平線の下にあり見られません。つまり月は、月食が始まった状態 (月が欠けた状態) で地平線から昇ってきます。月食の経過は日本全国どこでもほとんど同じ時刻ですが、月の出の時刻は観察する場所によって大きく異なり、東京では18時11分となります。
各地の月の出の時刻は、国立天文台暦計算室の月食各地予報のページで確認することができます。
なお、月が地球の影に完全に隠れて皆既月食となっても、一般的に月は真っ黒になりません。地球の大気がレンズのような役割をし、太陽光を屈折させほんのわずか影の中側に曲げるからです。この時、青い光は大気中のチリ (塵) などで散乱してしまいますが、赤い光は散乱しづらいため、影の中に入り込み皆既月食中の月面を赤黒く照らします。
しかし、皆既中の色はいつも同じではなく、月食の度に変わります。大気中にチリが少ないと明るいオレンジ色に、逆にチリが多いと黒っぽくなります。
今回、国立天文台では、より多くの方にこの皆既月食という現象を観察していただくために、「皆既月食どんな色?」という市民参加型のキャンペーンを行います。月食をただ眺めるのではなく、皆既月食中の月がいったいどんな色に見えるのかにも注目して観察し、キャンペーンページから報告してください。携帯電話からも報告できますので、ぜひお気軽にご参加ください。
皆既月食は特別な道具がなくても、肉眼で楽しめる現象です。また色鉛筆やクレヨン等でスケッチをとるのもよい記録になることでしょう (スケッチ用紙はキャンペーンページからダウンロードできます)。
はたして今回の皆既月食、どのような色に見えるでしょうか。注目しながら観察してみてはいかがでしょうか。
2007年8月14日 国立天文台・広報室