茨城県水戸市の櫻井幸夫 (さくらいゆきお) さんが、4月14日 (世界時、以下同) の観測から、いて座に新星らしき天体を発見しました。この天体は、焦点距離180ミリメートル、f/2.8のレンズを取り付けたデジタルカメラを使ってCCD で撮影された2枚の画像の中から発見され、兵庫県洲本市の中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合に報告されました。
櫻井さんによって発見された新天体の観測値は次のとおりです。
発見日時 2007年4月14.777日 = 4月14日18時39分 (世界時) 赤経 18時 10分 18.4秒 赤緯 -18度 46分 51秒 (2000年分点) 等級 10.3
櫻井さんは発見前の4月9.8日にもこの位置を観測していましたが、その撮影画像 (限界等級11.4) には、この天体は写っていませんでした。中野さんはフィルターなしの CCD でこの天体を19.712日に確認観測し、明るさを10.2等と報告しています。山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんも同じくフィルターなしの CCD で観測し、19.745日に9.8等と報告しています。愛知県豊橋市の長谷田勝美 (はせだかつみ) さんはこの天体の発見の報を受け、過去の画像を調査して、12.792日に11.2等、13.793日に10.8等、14.777日に10.4等で撮影されていたことを見出し、九州大学の山岡均 (やまおかひとし) さんを通じて報告しています。
櫻井さんは過去に多数の新星を発見しているベテランのアマチュア天文家です。去る2月4日にもさそり座に新星を発見したばかりでした。また、今回の天体が新星と確認されると、銀河系内の新星発見は今年に入ってから6個目になりますが、このうちの5個が日本のアマチュア天文家による発見です (アストロ・トピックス (286) 参照)。日本のアマチュア天文家の目覚しい活躍を示すものとして特筆に値します。
2007年4月20日 国立天文台・広報室