太陽観測衛星『ひので』(SOLAR-B) が観測した巨大フレア

 2007年3月20日に続き、太陽観測衛星「ひので」がとらえた太陽のエキサイティングな画像と映像が公開されました。

 「ひので」衛星は、2006年12月11日より太陽面上の活動領域 NOAA10930 の試験観測を続けていました。そして、世界時12月13日2時ごろ (日本時間では同日11時ごろ) に同領域で発生した巨大フレアの観測に成功しました。このフレアは、これまでに観測されたフレアとしては、最大級、太陽活動の最も低い時期 (太陽活動極小期) に発生したフレアとしては最大のものでした。この巨大フレアは、大磁気嵐を起こし、オホーツク海上空ではオーロラ現象が観測されるなど、地球環境へも大きな影響を及ぼしました。「ひので」衛星による太陽活動の基礎研究により、今後、宇宙天気予報や気候への影響の研究が進展すると期待されています。

 さて、公開されているムービーを見ると、この巨大な爆発現象の多様かつダイナミックな姿がよくわかります。「ひので」衛星には、X線望遠鏡、可視光・磁場望遠鏡、そして、極端紫外線撮像分光装置という三つの観測機器が搭載されています。これら三観測機器から非常に美しい画像・映像が届いています。X線望遠鏡は、超高温プラズマの巨大磁気ループやフレアに起因する波動現象をとらえることに成功しました。可視光・磁場望遠鏡では、2つの黒点の衝突相互作用により磁場が捻じ曲げられ変形する様子、X線ループの足元が黒点を踏み潰すかのごとく進入していく様子を極めて鮮明にとらえています。また、極端紫外線撮像分光装置は、超音速の噴出物を観測しました。

 このように「ひので」衛星の三つの観測装置により、フレアのエネルギー源である磁場と、それが高温プラズマや超音速流を生み出す現場を、同時にかつ高い解像度で観測したのは世界で初めてです。現在、研究チームがより詳細なデータ解析を行っており、磁場のエネルギーがどのようにコロナに蓄えられ解放されるのかについて、明らかにしようと研究を続けています。

 この巨大フレアの画像と映像は「国立天文台ひのでホームページ」で公開されています。

参照

2007年3月22日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)