太陽観測衛星「ひので」によって観測された皆既日食の画像と動画が、国立天文台SOLAR-B推進室のホームページで公開されました。
URLは、http://hinode.nao.ac.jp/news/070319Eclipse/ です。
2007年3月19日に日本国内の一部で、ごくわずかに欠ける部分日食が観測されました。特に西日本では天候にも恵まれ、部分日食が各地で観測されています。 ただ、今回の日食では地上で皆既になる地域はありませんでした。皆既日食を引き起こす月の影 (本影) が、地球をそれてしまっていたからです。そのため、 今回の日食が見えた地域でも、部分日食にしかなりませんでした。ところが、地上680キロメートルを周回する太陽観測衛星「ひので」では違いました。そ の軌道上に、月の影 (本影) が通過し、衛星からは皆既日食となったのです。
太陽観測衛星「ひので」は、日本時間2007年3月19日11時55分 (世界時2時55分) に、その軌道上で起きた皆既日食を観測することに成功しました。今回、 公開された画像と動画は、太陽全面を観測できるX線望遠鏡と可視光・磁場望遠鏡によって撮影されたものです。天文学的な研究を行う上でも、この日食は価 値のある現象です。日食中の観測データを解析することで、観測機器に対する散乱光の影響の度合いを調べたり、画像の解像度の評価を行ったりすることが できるからです。こういった解析は、今後行われる予定ですが、Solar-B推進室では、太陽に関する研究や天文学の広報・普及活動の一環として、ホームペー ジで画像と動画を一般に公開することにしました。
特に動画を見ると、真っ黒な月が太陽の前面を通り過ぎていく様子がわかります。ダイナミックな天体の動きを感じることができるでしょう。太陽観測衛 星「ひので」によって観測された同様の画像や動画は、今後も順次公開されていく予定で、世界中から大きな期待が寄せられています。
2007年3月20日 国立天文台・広報室