太陽観測衛星「ひので」がとらえた月のでこぼこ

 太陽観測衛星「ひので」は、2007年2月18日1時 (日本時) に、衛星の軌道上で起きた部分日食を観測しました。今回の日食は地上では見ることはできず、地上約700キロメートルを周回する衛星軌道でのみ起きたものです。ひのでから見て、太陽の手前 (の南側) を月 (の北側) が通過して、日食が起こりました。

 0.2秒角の分解能を誇る可視光・磁場望遠鏡 (SOT) では、太陽面を隠した月の陰から、月の縁の地形のでこぼこを捕えることができました。月面での0.2秒角は約400メートルに相当します。また、観測画像の月の縁の形から、その付近にあるクレーターを割り出すことができました。

 この観測画像は画像解析により、分解能をさらに10倍以上 (月面で40メートルより小さいものを判別できる程度) にまで引き上げることができると見込まれています。月の縁を真横から見ているため、月面上での高さが精度良く割り出せるようになります。このようにして得られた月面の高度データは、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が今年打ち上げる予定の月探査周回衛星 (SELENE :セレーネ) に搭載されるレーザー高度計による観測データとの比較に活用できると期待されています。

 ひのでミッションとしては、今回得られた観測データを用いて、本来真っ暗な月の陰に回り込む太陽光、すなわち光学系の散乱光の影響を解析し、今後の観測精度の向上に役立てます。

 また、X線望遠鏡 (XRT) では、太陽コロナを背景に、陰となった月が通過する様子が捕えられています。

 これらの詳細な画像は、以下のWebページにて公開されました。ぜひ、ご参照ください。

参照:

2007年2月27日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)