山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんが、11月25日 (世界時)の観測から、約17.1等の超新星を発見しました。
この超新星は、うしかい座の銀河 NGC 5735 の中にあり、口径60センチメートルの反射式望遠鏡 (f/5.7) を使って CCD で撮影された9枚の画像 (20秒露出) の中から発見されました。
この発見は、兵庫県の中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2006qp」と命名されました。
以下は、板垣さんによって発見された超新星の観測値です。
超新星「2006qp」が発見された日時と等級と位置 発見日 2006年11月25.85日 = 11月25日20時24分 (世界時) 17.1等 赤 経 14時 42分 30.65秒 赤 緯 +28度 43分 25.9秒 (2000年分点)
この超新星は、NGC 5735 銀河の中心から、西に35秒角、南に10秒角離れた位置にあります。板垣さんは以前にもこの銀河を撮影していましたが、限界等級18.5等の今年8月15日の画像や限界等級19.0等に至るそれ以前の画像には今回の超新星は写っていませんでした。また、DSS 画像 (注1) にも、今回の超新星は写っていませんでした。一方、西はりま天文台 (NHAO) と九州大学の観測チームは、11月30.86日 (= 11月30日20時38分) (世界時) に NHAO の口径60センチメートルの反射望遠鏡を用いて撮影した画像に、この超新星が約17.5等で写っていることを確認しました。
板垣さんは、この超新星発見の約9時間前にあたる11月25.4677日 (= 11月25日11時13分) (世界時) には、アンドロメダ座の中にある M31 (= NGC 224) 銀河に17.5等の新星を発見しました。この発見も中野主一さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この新星は「M31N 2006-11a」と命名されました。なお、埼玉県上尾市のアマチュア天文家、門田健一 (かどたけんいち) さんも口径25センチメートル反射鏡を用いてこの M31 銀河を撮影し、11月25.627日 (= 11月25日15時3分) (世界時) にこの新星が17.3等で写っていることを報告しています。
今回の超新星の発見により、板垣さんによる超新星の発見数は今年だけで、すでに11個 (独立発見を含む) となり、通算では27個となりました。日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。
注1: DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。
2006年12月5日 国立天文台・広報室
「お詫びと訂正」 アストロ・トピックス (260)「12月13日〜14日、ふたご座流星群を眺めよう」 の記事中に、誤字がありました。お詫びして訂正させていただきます。 誤:地球が彗星の起動と交差する日時は、 正:地球が彗星の軌道と交差する日時は、