太陽観測衛星“ひので”に搭載された可視光・磁場望遠鏡の初期成果

 自然科学研究機構国立天文台、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部と米国航空宇宙局は共同で、第22号科学衛星「ひので」 (Solar-B) に搭載された可視光・磁場望遠鏡 (以下、可視光望遠鏡と略記) の初期成果を示す映像と画像を公開しました。

 「ひので」は、2006年9月23日に打ち上げられ、現在、順調に試験観測を継続しています。可視光望遠鏡は、我が国の先端的宇宙光学技術を駆使することにより、世界に先駆けて実現したユニークな装置です。これまで世界で宇宙に打ち上げられた太陽観測望遠鏡としては最も分解能が高い性能を実現し、いわば、太陽を調べるための「顕微鏡」とも言える観測装置です。その観測は、世界的にも注目を集めています。

 可視光望遠鏡の特徴のひとつは、0.2〜0.3秒角 (太陽面で140キロメートルから210キロメートルに対応) という高空間分解能で、太陽の磁場を1日24時間観測できる点です。太陽表面で起こるさまざまな活動現象の鍵を握っている磁場の精密観測やダイナミックな現象を捉える連続観測に関しては、安定した連続観測が必要です。「ひので」チームでは、このような観測は地球大気の影響を受けない「ひので」衛星の独壇場と期待しています。

 可視光望遠鏡は、10月25日の主ドア展開により、ファーストライト観測を実施しました。そして、波長430ナノメートルで0.2秒角という理論的に達成できる限界解像度を達成しているのを確認しました。さらに、画像安定化装置を動作させ磁場観測に必要な分解能0.01秒角の安定度を達成しました。その結果、これまで世界的に得られたことのない画期的な画像の取得に成功しました。

 国立天文台SOLAR-B推進室のホームページで、太陽のダイナミックな変化を示す次のようなムービーや観測データが公開されています。

参考URL:

2006年12月 1日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)