夕方の空で、スワン彗星(C/2006 M4 (SWAN))が予想外に明るくなっています。 スワン彗星は、今年6月に太陽観測衛星SOHO(Solar and Heliospheric Observatory)の太陽風異方性検出装置SWAN(Solar Wind Anisotropies)による 画像から発見された新彗星です。太陽の近くで見つかったため、発見後しばら くは太陽から離れず、地上からは見づらい位置でしたが、10月中旬からは夕方 の西空で比較的条件よく観測できるようになりました。国内でも、約6等とい う肉眼でぎりぎり見える程度の明るさで観測されていました。 ところがこの彗星が、10月24日頃に約2等級も明るくなったことが伝えられ ました。彗星は、しばしば大量のガスや塵を一時的に放出し、突発的に明るく なることがあります。「アウトバースト」という現象です。国際天文学連合回 報(IAUC),No 8766によれば、10月23.75日(世界時、以下全て同じ)5.9等、 24.04日5.4等、24.77日4.0等と増光した様子が報告されています。 現在、スワン彗星はヘルクレス座を移動中です。11月いっぱいは、夕方日没 1時間後の西空で、地平線から40度〜50度の高さで見ることができます。この 増光が一時的なものなのかどうか、現段階ではわかりませんが、現在も4等台 を保っている模様です。今後もこの増光状態が続くようならば、しばらくの間 は双眼鏡でも簡単に彗星を見ることができそうです。 参照: IAU Circular No. 8766 (2006 Oct 25) : C/2006 M4
2006年11月1日 国立天文台・広報室