日食とは、月が太陽を隠す現象で、「太陽-月-地球」と並んだ際に月の影に地球が入ると、地上からは太陽が月の影に隠れて見えなくなります。
太陽の周りを回る地球の軌道が完全な円ではなく、地球-太陽間の距離が少しずつ変化することと、地球の周りを回る月の軌道も完全な円ではなく、地球-月間の距離も変化するため、月の影の地表での投影の様子は、時によって変わります。二つの変化が組み合わさって、月が作る円錐形の本影(ほんえい)の先端が地表に届く場合と、届かない場合ができます。本影が地表に届く場合は、その本影の中に入ると太陽が月に完全に隠されます。この場合を「皆既(かいき)日食」と言います。また、本影が地表に届かない場合、上空で一点に集束した影は再び広がり、擬本影(ぎほんえい)を作ります。この擬本影の中に入ると、月が地表から遠いために小さく見え、太陽を隠しきれません。月の周りに、明るい太陽がリング状にはみ出して見えることになります。これを「金環日食(きんかんにっしょく)」と言います。
皆既日食の場合も金環日食の場合も、本影や擬本影の周りには「半影(はんえい)」ができます。この半影の中に入ると、太陽の一部分が月に隠されて見えます。これを「部分日食」と言います。部分日食は、皆既や金環が見られる地域の周囲の、かなり広い地域で見ることが出来ます。
10月3日夕方(日本時間)に金環日食が起こります。残念ですが日本からは部分日食すら見ることは出来ません。この日食は、ヨーロッパ全域とアフリカのほぼ全域、ロシア東部、中近東、インドで見ることができます。金環日食が見られる地帯は、ポルトガル最北部から、スペインを横切り、地中海を通り、アルジェリア、チュニジア、リビア、スーダンを横切り、ケニアを経て、インド洋に抜けています。
スペイン・マドリッドの場合、おおよそ以下のような時間で現象が進みます。
スペイン時間(夏時間) | 日本時間 | |
部分日食始 | 9時40分 | 16時40分 |
金環日食始 | 10時55分 | 17時55分 |
金環日食終 | 11時00分 | 18時00分 |
部分日食終 | 12時23分 | 19時23分 |
天文現象などをインターネットで中継している非営利団体「ライブ!ユニバース」は、大都市を通る稀な金環日食をインターネットで中継するプロジェクト「LIVE! ECLIPSE 2005 Annular」を行います。
中継URLは http://日食中継.jp/ です。
(日本語URLが開けない場合は http://www.live-eclipse.org/ )
2005年9月29日 国立天文台・広報室