静岡県掛川市にお住いの西村栄男(にしむらひでお)さんは、日本時間26日深夜、さそり座に8.7等級の新星を独立発見しました。この発見は兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合に報告されました。
南米チリのラス・カンパナス天文台に設置かれているASAS(全天自動サーベイ)が25.284日(世界時、以下同様)に撮影した画像から、さそり座に9.11等級の新星が発見され、その後、西村さんにより独立発見されました。さそり座第(NOVA SCORII 2005)と命名されました。
岡山県井原市にある美星スペースガードセンターの橋本就安(はしもとなりやす)さん、浦田武(うらたたけし)さんによって測定された新星の位置は、
赤経: 17時44分21.59秒 赤緯:-34度16分35.7 秒 (2000年分点)
で、さそり座の尾のあたりにあります。デジタル・スカイ・サーベイによる以前の画像ではこの位置に17等よりも明る>い天体はなく、明るさの増す度合いからも新星の可能性が高いでしょう。今後の光度の追跡が望まれます。
これまでに報告されている光度は、以下の通りです。
日付(日UT) 明るさ 観測者 20 11等以下(p) 西村 21.524 11.2等以下(C) 高尾明(北九州市) 23.287 14等以下(V) ASAS 25.284 9.11(V) ASAS 25.625 9.8(C) 高尾 26.296 8.98(V) ASAS 26.311 8.98(V) ASAS 26.565 8.7(p) 西村 26.573 9.8(C) 高尾 26.596 8.6(C) 美星スペースガードセンター
西村さんは新天体発見のベテランで、今年に入って、2月にはくちょう座に「はくちょう座新星(V2361 Cyg = Nova Cyg 2005)」(国立天文台 アストロトピックス(83))を、3月に「いて座新星(Nova Sgr 2005 = Sgr V5115)」を発見(同(90))を発見しています。また、2004年3月の「いて座新星」(国立天文台 天文ニュース(705))、2003年8月にたて座に「新星状天体(同(668))」を発見しています。1994年7月の中村・西村・マックホルツ彗星(C/1994 N1)の発見者でもあります。
2005年7月27日 国立天文台・広報普及室