たいへん近い銀河に明るい超新星

著者 :山岡均(九大理)

しし座の足元、ぎりぎりろくぶんぎ座の領域にある渦巻銀河NGC 3423は、渦を正面から眺めているため構造がよくわかる近傍銀河です。距離は4000万光年前後と、銀河のなかではかなり近い部類のものです。このNGC 3423に、超新星らしき天体が出現しました。見つけたのは、これまで各種の新天体を発見している、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の樺島冨士男さんのコンビです。

彼らは11月23.779日(世界時、以下同様)に撮影した画像で、15.1等級の新しい天体に気付きました。翌24.814日にも15.3等級で輝いていましたが、以前に撮影した画像には写っていません。新天体の位置は、

赤経  10時51分14.58秒
赤緯  +5度50分58.8秒  (2000年分点)

で、NGC 3423の中心核から東に3秒角、北に35秒角にあたります。この新天体には、超新星2009lsと符号がつけられました。

この銀河の典型的なIa型超新星は、極大で11等級台にもなると期待されます。ただしこの銀河は、ここ数ヵ月間太陽に近い方向にあったため、爆発後時間が経った超新星である可能性も高いでしょう。今後の明るさの推移やスペクトル観測によるタイプ判別が楽しみです。

参考文献:

2009年11月25日

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