【転載】VSOLJニュース(054)

長谷田さん、第二のウォルフ・ライエ型特異変光星の発見


著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 愛知県の長谷田勝美さんが、また大きな発見をされました。長谷田さんが発見された特異変光星 HadV82 が、「うずまき星」として知られる極めて特異なウォルフ・ライエ星 WR104 と同定され、天文学上の大きな話題になっていることは VSOLJニュース051でお伝えしたばかりですが、その興奮も冷めやらぬ中、長谷田さんはあるいはもう一つの「うずまき星」となるかも知れない特異変光星を発見されました。(ウォルフ・ライエ星の説明については、VSOLJニュース051をご覧ください)

 長谷田さんの変光星の84番目にあたる HadV84 は、詳しい調査の結果、同じく特異なウォルフ・ライエ星である WR106 と同定されました。WR106 は WR104とスペクトル型が極めて近いこと、赤外線の輻射が極めて強いことなど共通点が多かったのですが、長谷田さんは、WR106 も WR104 と同じように2等級を超える減光を示すことを発見されたのです。この発見は、あるいはこれらの特異なウォルフ・ライエ星が、共通の機構で効率的に塵を放出していることを示しているのかも知れません。これらの星の詳しい研究はまさに始まったばかりですが、これらの発見を契機に、過去の観測の調査や、今後のさらなる観測によって、これらの特異天体の正体が明らかにされることが期待されています。

 天体の位置は以下の通りです。この天体はふだんは11.9等星ぐらいですが、減光を起こすと13等星よりも暗くなります。

  18h 04m 43s.65  (J2000.0)
  -21o 09' 30".5

2001年 5月 1日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]