【転載】国立天文台・天文ニュース(389)

2000年の「しし座流星群」


1998年以来かなり活発な出現を見せていた「しし座流星群」は、昨 1999年にヨーロッパで1時間当たり3500個という大出現を見せました。 それでは、日本における今年の出現状況はどうでしょうか、これは以下 に要約されます。

 1. 今年の「しし座流星群」がまったく見えないことはありません。 しかし、出現のピークでもせいぜい1時間あたり20個程度でしょう

 2. 最も出現が多いと思われる11月18日を中心として、17日から19日 までは出現の可能性があります。時刻はいずれの日も0時頃から夜明け までです。

 3. 下弦前後の月が放射点近くにありますから、かなり邪魔で、暗い 流星は見えなくなってしまうでしょう。

 流星群の出現予測はたいへん難しく、見込みがまったく外れる可能性 もあり、上記のものはごく常識的な推定にすぎません。予測は人によっ てまちまちです。流星群の母彗星であるテンペル・タットル彗星の軌道 にもっとも地球が近付く時刻は17日の17時頃(日本時)で、このときに 1時間当たり1000個ぐらい出現という予測もあります。また、昨年の 「しし座流星群」のピーク時刻をぴたりと当てて有名になったイギリス のアッシャー(Asher,D)は、ピーク時刻は18日12時44分と18日16時51分 (いずれも日本時)の二つがあり、出現数は1時間あたり数10個であろう との予測をしています。さらにベネズエラのフェリン(Ferrin V;I.R.) は17日の18時24分(日本時)をピークに、北、中央アメリカで1時間当た り3500個以上の出現があろうという予測をしています。しかし、これら のピークは日本ではすべて昼間の時間帯で、放射点は地平線下にありま すから、仮にこのときにかなりの出現があったとしても、日本で見るこ とはできません。こうしたところから、今年の「しし座流星群」はあま り大きな見込みがないといわれるのです。

 流れ星をご覧になるなら、あまり大きな期待を持たないことです。そ うすれば、見えたときの喜びは一層大きくなります。なお、アッシャー の予測では、2001年には日本を含む東アジアで1時間あたり1万5000個の 流星雨が出現する可能性があるということです。もちろん100パーセン ト確実なものではありませんが、来年は月の妨害もありませんから、 今年よりも大きな期待の下に「しし座流星群」を待つことができるで しょう。

参照

2000年10月26日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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