明け方に木星と金星の接近ショー

 11月上旬、明け方の東の空で天文ショーが見られます。明けの明星(みょうじょう)として輝く金星と、木星が接近している様子を見ることができます。

 金星は、マイナス4等級と惑星の中ではとびきり明るく、それだけでとても美しいものです。これにマイナス1.7等級の木星が加わります。二つの惑星は、次第に近づいていき、11月5日の早朝に一番接近して見えます。最も接近するのは11時で、このときのお互いの距離は、なんと0.5度です。ちょうど月の視直径(見た目の直径)分しか離れていないとい大接近になります。

 金星と木星は、しばしば近づくのですが、ほとんどの場合、太陽の近くで起きることが多く、これだけ条件がよい接近が見られるのは珍しいことです。前回、この距離まで接近した二つの惑星が見られたのは、1999年2月23日の夕方で、それ以来5年ぶりとなります。また、この次に接近が見られるのは4年後の2008年2月2日早朝まで待たなくてはなりません。

 5日を過ぎると、二つの惑星は再び離れていきます。しかし、今回の天体ショーには、さらにもう一つの山場が待っています。11月10日には、この離れつつある金星と木星との間に、月がすっぽりと入り込んでしまうのです。月齢26.7という、とても細い月が木星と金星を従えて輝くという、まさに三天体の競演というわけです。暁(あかつき)の茜色(あかねいろ)をバックに、金星・月・木星が並んで輝く様子は、この上もなく美しい星景色となるに違いありません。なお、この様子は8日から12日にかけて連続して見てみるのも面白いかと思います。ぜひ早起きして眺めてみたいものです。

2004年10月28日            国立天文台・広報普及室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)