【転載】VSOLJニュース(092)

チリの Liller, いて座に新星らしき天体を発見


著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 チリの William Liller からの報告によれば、9月15.110日(UT)撮影のフィルムからいて座に 8.5等級(オレンジフィルター使用) の新星らしき天体が発見されました。Liller によれば 9月11.12日撮影のフィルムには11.5等よりも明るい星像は認められなかったとのことです。この観測はこの天体が急激に増光したことをうかがわせます。

 Liller による概略報告位置は以下の通りです。

     18h 02.4m
     -25o 18'
     (J2000.0)

 この位置の近くにはミラ型変光星の可能性がある IRAS赤外線源がありますが、可視光では星間吸収を受けているらしく、九州大学の山岡均氏の調査によれば同位置の DSS画像には明るい天体が認められません。これらの情報から、この天体は新星かそれに類似の天体と思われますが、IRAS天体が特殊な種類の爆発を起こした可能性も否定しきれません。詳しい位置の測定、スペクトル観測による確認や今後の光度変化の観測が望まれます。

 これまでに報告されている光度観測は以下の通りです。

  2002年 9月  3.943,3.944 UT <10.5  Y. Shida (ブラジル、写真)
             11.12           <11.5  W. Liller (チリ、写真)
             15.1102-15.1241   8.5  W. Liller (チリ、写真、発見)
             16.080            8.0  B. King (アメリカ、確認)
             16.177            8.1  C. Puig (アメリカ)

 VSNETでもこの天体に関するページを用意しています。星図や画像類は詳細が判明し次第追加される予定です。

http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/Novae/nsgr02-2.html

2002年 9月16日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]