【転載】VSOLJニュース(089)
2002年に入ってから4か月が経ち、1年の1/3が過ぎましたが、この間には日本人による彗星・新星・超新星の発見がたいへん多数相次ぎました。それに引き続くかのように、5月に入ってすぐ、山梨県の串田麗樹さんが新超新星を発見されました。串田さんは、暗いIa型超新星としてたいへん注目された超新星1991bgを発見されて以来、超新星を10個以上発見(独立発見を含む)してこられたベテラン超新星ハンターです。
IAUC 7890によれば、超新星2002crと命名されたこの天体は、5月1.701日(世界時、以下同様)に撮影されたフィルターなしCCD画像で16.5等の明るさで発見され、翌夜の2.467日に16.2等で確認されています。超新星の位置は赤経14時06分37.59秒、赤緯-05度26分21.9秒(2000年分点)、母銀河であるNGC 5468の中心から東に40秒角、北に50秒角ほどの位置にあたります。NGC 5468は、おとめ座の東部にある、正面を向いた渦巻銀河で、超新星は北東側の淡い腕の先端近くにあります。銀河中心の真北や真東には、銀河円盤部に重なって前景の星がありますので、超新星の同定には注意が必要です。
この銀河には、1999年にも超新星が出現しました。この超新星1999cpは、極大が14等ほどにも達したIa型のものでした。今回の超新星2002crも、Ia型であれば同程度の明るさにまで達すると期待されます。今後の明るさの変化や分光観測によるタイプ決定がたいへん望まれます。
Reference: IAUC 7890 (2002 May 2)
2002年 5月 3日
この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJの速報メーリングリストにご加入いただくと便利です(お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで)。
なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。