【転載】VSOLJニュース(087)
1月末以来、明るい超新星が数々発見されてきていますが、またもや近傍の超新星の発見が報じられています。もしIa型であれば、極大11.7等級ほどと期待されますし、その他の型でも14等程度に達すると見込まれます。
この超新星2002buを発見したのは、アメリカで自動超新星探索を行なっている天文愛好家Puckettさんとその協力者で、3月28.26日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、15.5等級の新たな天体を見いだしました。翌29.02日の画像でも天体の存在が確かめられています。新天体の位置は、赤経12時17分37.18秒、赤緯+45度38分47.4秒(2000年分点)で、母銀河であるNGC 4242の中心から東に73秒角、北に98".6秒角ほどにあたります。
母銀河NGC 4242は、渦巻がややはっきりしない銀河(SAB(r)dm)で、りょうけん座にある視直径の大きな(5分角×3.8分角)ものです。あまりに大きいために、私たちの銀河系内にある星がいくつも重なって見えています。また、円盤部には巨大な星団やH II領域が多数見られます。どれが超新星かの同定には注意が必要です。
この銀河は、りょうけん座II群と呼ばれる銀河群の一員と考えられています。距離はおとめ座銀河団よりも2割ほど近くですので、この群内に出現するIa型超新星の極大等級はおよそ11.7等ほどと期待されます。他の型であっても、極大14等程度と予想されますから、今後、分光観測による型の決定が楽しみなところです。比較的明るく、また見やすい位置にありますから、光度の追跡観測も望まれます。
参照文献:IAUC 7863 (2002 Mar. 29)
2002年3月30日
#3月11日付けのVSOLJ ニュースのナンバーは、086が正当です。一部に間違い #がありました。申し訳ありません。
この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJの速報メーリングリストにご加入いただくと便利です(お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで)。
なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。