【転載】VSOLJニュース(079)
北海道名寄市の佐野康男(さのやすお)さんが超新星を発見されました。彼にとって2個目の超新星発見です。1個目は、たいへん重い星が大きな爆発エネルギーで爆発した「極超新星」と考えられている超新星1997efでした。今回の超新星がどのような種類のものか、注目されます。
この超新星はIAUC 7805(1月24.94日(世界時、以下同様)発行)で広報され、SN 2002anと呼ばれることになりました。超新星の発見は今年すでに40個目ですが、アマチュアによる発見は今年初めてで、今のところ最も明るいものです。発見は1月22.52日のことで、その時の明るさは16.0等でした。すぐに山梨県の串田麗樹(くしだれいき)さんによって天体の存在が確認されました(22.64日)。超新星が出現した銀河は、かに座にある暗い渦巻銀河NGC 2575で、今の季節だとかなり見やすいところと言えるでしょう。超新星の位置は、赤経8時22分47.76秒、赤緯+24度17分41.7秒(2000年分点)で、銀河の中心から南に7秒角、東に38秒角ほどの位置、渦巻の外端にあたります。
この銀河に重なるように、私たちの銀河系内の星がいくつか見られます。15等級ほどの星が、銀河の中心から南に33秒角ほどのところにひとつ、西北西に20秒角ほどのところにひとつと、西北西67秒角にひとつ、合計3つあります。北北東60秒ほどのところにもうひとつ、もう少し暗い(17等ほど)星もあります。観測時には、どの星が超新星か、注意する必要があります。
24日夜の串田さんによる観測では、この超新星はわずかに明るくなっているとのことです。串田さんが1月6日に撮影した画像にはこの天体は写っていない(限界等級18.5等)ので、爆発後それほど時間が経っておらず、最も明るくなる極大よりも前であろうと考えられます。銀河の距離の推定から、もしこの超新星がIa型(超新星のなかで明るい部類のもの)であれば、極大等級は15.4等ほどと期待されます。今後のこの超新星の明るさの変化を追うことや、スペクトル観測による早期のタイプ判別が望まれます。
発見時画像や光度比較星情報などは、アメリカのアマチュア天文家D.Bishopさんが作成されている下記の超新星Web pageで見られます。
http://www.RochesterAstronomy.org/snimages/
2002年 1月25日
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