【転載】VSOLJニュース(014)
近接連星系中の白色矮星に降り積もったガスが爆発的に核融合反応を起こし、星の表面を吹き飛ばす現象を「新星」または爆発現象を指して「新星爆発」と呼びます(なお、新星は新しい星の誕生ではなく、近接連星の進化の後期に起きる現象です)。新星は我々の銀河系で年に数個発見されています。
IAUC 7153, IAUC 7154によれば、愛知県の山本稔(やまもとみのる)さんが、4月25.731日(世界時)の写真からいて座に8.6等級の新星を発見されました。串田夫妻による精測位置は
18h 07m 36s.22 (J2000.0) -27o 20' 13".5です。チリのW. Lillerによる低分散分光観測(4月27.195日)、アメリカのP. Garanavich他によるスペクトル観測(4月27.5日)で、新星に特徴的な輝線が確認されました。スペクトルは吸収線成分がまだ認められ、新星の爆発早期(極大前)のものと考えられます。眼視観測では4月27.3日に7.8等に増光しているとの報告(Scovil, AAVSO)があります。スペクトル観測から得られた輝線の幅は 800 km/s とかなり小さく、この天体は比較的「遅い新星」に属すると推定されます。今後しばらくの期間小望遠鏡でも観測可能な状態が続くものと思われます。
ノルウエーのB. H. Granslo による、ヒッパルコス・チコ星表を用いた星図は
から得られます。またVSNETでも以下に星図、光度曲線等を掲載する予定です。
1999年4月28日
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