【転載】国立天文台・天文ニュース(605)
熊本県菊池郡西合志町の工藤哲生(くどうてつお)さんが新彗星を発見しました。
12月14日午前5時頃、口径12センチメートル倍率20倍の双眼鏡で、うしかい座に9.5等級の新彗星を肉眼観測で発見しました。コマの見た目の直径は2分角。中央に集光した部分はあるが、尾は認められなかったそうです。
工藤さんは翌15日朝にも観測しました。また埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さん、山梨県八ヶ岳南麓天文台の串田(くしだ)夫妻によって確認されました。この内容は兵庫県洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合へ報告されました。
この新彗星には2002 X5の認識符号が与えられました。
発見後いくらも時間が経っていないので、日心軌道はまだ求められていません。このあと「工藤彗星(Kudou)」の通称になる見込みが大きいと思われます。
発見観測と確認観測の一部は以下のとおり
2002 UT R.A. (2000) Decl. m1 Observer Dec. 13.833 15 44 +45 30 9.5 Kudo 14.783 15 52 +44 57 9.5 " 14.86146 15 53 07.63 +44 52 43.3 9.6 Kadota 14.86302 15 53 08.48 +44 52 39.9 7.5 Kushida
工藤さんは天体写真のベテランで、天文雑誌などにもよく作品が載っていました。工藤さんの知り合いの人の話では「写真じゃ面白くない。やっぱり探してみたい」ということで、捜索を始められたのは、2〜3年前であったということです。
2002年12月15日 国立天文台・広報普及室
注:人名・地名に未確認の部分があります。予めご了承ください。