【転載】国立天文台・天文ニュース(603)

肉眼彗星になるか、消えるか? ニート彗星


 ジェット推進研究所のNEAT(Near-Earth Asteroids Tracking programme)チームは、地球接近小惑星を捜索する観測中、11月6日に、ハワイ・マウイ島ハレアカラ山の口径1.2メートル望遠鏡によって、「オリオン座」と「おうし座」の境界付近に、10秒角の尾を持つ17.3等の彗星像を発見しました。この彗星にはC/2002 V1の認識符号が与えられ、通称はニート(NEAT)彗星になりました。その後の観測を加えて軌道を求めたところ、この彗星は来年2月半ばには太陽に0.1天文単位にまで近づくことがわかりました。このままいくと1月末から2月はじめにかけて日没直後の西の低空で、肉眼でも見える明るさになる可能性があります。

 現在、このニート彗星はうお座にあって、10等台にまで明るくなっています。いまのところ尾もそれほど目立っていませんし、平凡な彗星の姿をしていますが、このままの調子で明るくなれば、1月半ばには6等に達して肉眼彗星になるかもしれない、と期待されています。一方で、彗星そのものがあまりに小さいと、太陽に近づく段階で融けきってしまい、天文ニュース(366)で紹介したリニア彗星(C/1999 S4)と同様、崩壊・消失する可能性も指摘されています。

 今後、この彗星の行く末が注目されるところです。

 国際天文学連合による最新のC/2002 V1(NEAT)の軌道要素は以下のとおりです。

      近日点通過時刻 = 2003 Feb. 18.2977 TT
      近日点距離   = 0.099318 AU
      近日点引数   = 152゜.1524
      昇交点黄経   =  64゜.0845   (2000.0)
      軌道傾斜角   =  81゜.8108

参照

2002年12月12日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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