【転載】国立天文台・天文ニュース(600)
昨年のしし座流星群は、11月19日未明に日本上空で大出現となり、多くの人々が夜空を彩る天文ショーに酔いしれました。
今年は、天文ニュース(586)でもお伝えしたとおり、ダスト・トレイル法にもとづく出現予想のピーク時刻には、日本から観測できないこと、また、満月が一晩中夜空を明るく照らし観測条件がよくないことなどから、日本では、昨年のような期待を持って夜空を眺める人は少なかったようです。
ダスト・トレイル法による予想では、出現のピークが日本時間で19日13時頃および19時半頃と2回あり、前者は西ヨーロッパ・西アフリカで、後者は北米で観測条件がよいとされていました。実際、日本時間13時すぎにスペインで1時間あたりに換算して1000個以上、日本時間19時半すぎにアメリカ・アリゾナ州で1時間あたりに換算して700個以上の流星が観測されたという速報が入っています。昨年にひきつづき、今年もダスト・トレイル法による事前の予報とほぼ一致する時刻に流星群の出現があったということができます。
NASA国際航空機観測ミッション(Leonid MAC 2002)によると、ヨーロッパ上空では流星痕を残すような明るい火球の出現が多く観測された模様です。
日本では、19日未明(3-4時頃)に1時間あたりに換算して50個程度のしし座流星群の流星が観測されていますが、北米で出現ピークを迎えた後の19日深夜から20日未明は、数個程度の流星が観測されたのみとなりました。流星群電波観測プロジェクトの結果からも、日本での出現のピークは19日の早朝であったことがうかがえます。
今年のしし座流星群の出現についてのさらに詳しい結果は、今後各方面に寄せられる観測結果や数値により明らかになることでしょう。
2002年11月20日 国立天文台・広報普及室