【転載】国立天文台・天文ニュース(574)
昨年11月には、日本で「しし座流星群」の大出現が見られました。世界でも日本付近が特に条件がよいとあらかじめ予測されていたこともあって、大変話題となりました。しかし、しし座流星群のように、ある年だけ流星が大出現する流星群はむしろ珍しく、多くは毎年決まった時期に流星を出現させます。
その中でも、8月の中旬に活動するペルセウス座流星群は、毎年多くの流星が見られることでよく知られています。
今年のペルセウス座流星群の極大は、8月12日から13日にかけての夜と予想されています。
流星が多く観察できるかどうかに大きく影響を与える要因として、月の状態があります。明るい月の出ている空で流星を観察すると、月の光によって暗い流星が見えなくなり、観察できる流星の数は減ってしまいます。同じ時期であっても月の状態は年によって違いますが、今年の8月12日は、日の入り後に西の空に見えている細い月が21時前後には沈んでしまい、それからは月のない星空が朝まで続きますので、数年に一度の好条件だと言えます。
流星群に属する流星は、「放射点」と呼ばれる星空の一点を中心に、放射状に出現します。ペルセウス座流星群の場合、放射点はおおよそ北東の方角にあります。しかし、放射点のある方向だけに流星が出現するわけではありません。放射点近くに出現する流星は、こちらに向かって飛んでいるために短い軌跡の流星が多く、放射点から90度前後離れた方向では、流星を横から見ることになるために、長い軌跡の流星が多く観察されます。
望遠鏡などの特別な道具は必要ありません。できるだけ長い時間空を見ていれば、それだけ多くの流星を目にすることができるはずです。
2002年8月8日 国立天文台・広報普及室