【転載】国立天文台・天文ニュース(551)
5月10日、宇宙科学研究所とNPO法人・日本惑星協会が小惑星探査機「MUSES-C」のターゲットマーカに100万人の氏名を掲載する「星の王子さまに会いに行きませんか」ミリオンキャンペーンを開始しました。
締め切りは2002年7月6日です。応募方法は日本惑星協会のホームページへ、ミリオンキャンペーンの概要は宇宙科学研究所のホームページに掲載されています。
今年11月に、日本の小惑星探査機「MUSES-C」が打ち上げられる予定です。
「MUSES-C」は、電気推進、自律航法、大気圏再突入など、次世代の惑星探査に必要な先進技術を獲得するための工学試験宇宙機ですが、その一環として、表面重力がほとんどない小惑星からの試料採取も試みます。
2005年後半に近地球型小惑星 1998 SF36 に到着した MUSES-C 探査機は、3ヶ月あまりかけて天体をくまなく調査した後に、その表面に下降して弾丸を撃ち込み、小惑星から飛び出してきた物質を「サンプラー」と呼ばれる装置を使って採取し、2007年夏に地球に持ち帰るって来る予定です。天体の試料を持ち帰ることをサンプルリターンといいます。
宇宙史上でもサンプルリターンは30年以上前のアポロ計画、ルナ計画による月面試料以来です。小惑星の物質を直接採取して地球に持ち帰るのは、世界初となります。
科学者たちは「MUSES-C」が持ち帰った物質を分析して、宇宙塵や、小惑星のかけらと考えられる隕石の成分と比べる予定です。これにより、隕石と小惑星との対応関係がこれまでより格段にはっきりしてくるはずです。隕石は、私たちが直接手にすることができる宇宙からの貴重な物質試料です。
「MUSES-C」が無事目的を果たしたならば、このような隕石を使った小惑星の研究が飛躍する大切な一歩となるでしょう。
ターゲットマーカとは、「MUSES-C」が目標点に降下するためにあらかじめ目印として投下しておく、光をよく反射するソフトボール大の球です。これに名前を刻むということは、小惑星にネームプレートを置くのと同じことになります。
自分の名前が小惑星まで旅してそこに永遠に置かれるということを思うとき、みなさんはどんなことを想像されるでしょうか。人類初の試みに名前だけでも参加できるなんて、なんだかわくわくしませんか。
※ 宇宙科学研究所とNPO法人・日本惑星協会が共同記者会見の案内より引用
日本惑星協会 | http://www.planetary.or.jp/top.html |
宇宙科学研究所 | http://www.isas.ac.jp/ |
小天体探査フォーラム | http://www.minorbody.com/ |
MUSES-C 勝手に応援ページ | http://www.as-exploration.com/muses_sp/muses.html |
2002年5月16日 国立天文台・広報普及室