【転載】国立天文台・天文ニュース(536)
熊本県小国町の宇都宮章吾(うつのみやしょうご)さんは、口径15センチ双眼鏡による眼視観測で、3月19日、明け方の東の低空「ペガスス座」の頭にあたる位置に10等の彗星状天体があることに気付きました。翌19日にはこの天体が移動しており彗星であることを確認しました。この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏を通じて国際天文学連合に報告され、新彗星であることが確認されました。
この新彗星の認識符号は C/2000 F1、通称は宇都宮彗星です。
宇都宮さんは2000年11月18日にも彗星を発見しています(天文ニュース395)。
この彗星は発見後南下してしまい観測し難い位置にありますが、月末にはまたやや見やすくなりそうです。太陽からの距離、地球からの距離も近いので、その頃には、小口径の望遠鏡や双眼鏡でも見える明るさです。国際天文学連合回報による暫定的な放物線軌道と、それによる予報位置はつぎのとおりです。
COMET C/2002 F1 (UTSUNOMIYA) 近日点通過時刻 = 2002 Apr. 23.460 TT 近日点引数 = 124.093 度 昇交点黄経 = 288.167 度 (2000.0) 近日点距離 = 0.45854 AU 軌道傾斜角 = 78.800 度 日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 2002 時 分 度 分 AU AU 度 等 Mar. 17 21 37.90 + 3 55.9 1.659 0.979 32.5 9.5 19 21 45.17 + 5 31.8 1.614 0.943 32.6 9.3 21 21 52.92 + 7 12.8 1.570 0.907 32.6 9.1 23 22 01.21 + 8 59.0 1.526 0.871 32.6 8.8 25 22 10.11 +10 50.3 1.484 0.835 32.4 8.6 27 22 19.71 +12 46.6 1.444 0.800 32.1 8.3 29 22 30.10 +14 47.6 1.406 0.764 31.7 8.1 31 22 41.40 +16 52.6 1.369 0.729 31.1 7.8 Apr. 2 22 53.72 +19 00.7 1.336 0.695 30.5 7.5 4 23 07.19 +21 10.2 1.305 0.661 29.7 7.3 6 23 21.94 +23 19.4 1.278 0.629 28.9 7.0
今後は近日点に向って進み、だんだんと北上しながら、明け方の低い空で、明るくなっていくようです。
2002年3月22日 国立天文台・広報普及室