【転載】国立天文台・天文ニュース(535)
神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治(ひろせようじ)さんは、1月の発見に続いて、彼にとって2個目となる超新星を発見しました。
広瀬さんは3月9日21時(日本時)ころに、前回の超新星 SN 2002apを発見したのと同じCCDを装着した口径25センチの望遠鏡による観測で、「しし座」の銀河NGC3190に、15.5等の明るさの超新星が出現しているのに気付きました。この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合へ報告されました。
実をいいますと、この超新星は、広瀬さんが発見する約10時間前に、ブラジルのカセラ(Cacella,P)さんが、16等ないし17等の明るさですでにその存在に気付き、報告をおこなっていました。したがって広瀬さんは第二発見者になります。しかし、独立発見である事実に変わりはなく、発見の価値が大きく減じるものではありません。この超新星の認識符号はSN 2002boとなりました。今年に入って67個目の超新星発見に当たります。
八ヶ岳南麓天文台、串田嘉男(くしだよしお)さんの測定によりますと、SN 2002bo の精密位置は、
赤経 10時18分 6.51秒 赤緯 +21゜ 49' 41.7" (2000.0)
で、NGC3190の中心から東へ11.6"、南へ14.2" 寄った位置にあるということです。ぐんま天文台その他の観測所で3月9日から10日にかけて実施された分光観測から、この超新星SN 2002bo は、極大の10日ほど前で、タイプIaであることが明らかになりました。
広瀬さんは39日を隔てて2個の超新星を発見しました。このように個人が短期間のうちに連続発見をすることは珍しいことですが、富山市の青木昌勝(あおきまさかつ)さんは、1996年12月になんと1晩のうちに2個の超新星を発見し、また2000年には8月に2個の超新星を発見したことがあります。
なお、NGC3190は、7000万から8000万光年の距離にある明るさが11等ほどの渦巻銀河で、見かけの大きさが4.6' くらいあります。
2002年3月14日 国立天文台・広報普及室
注:来週木曜の3月21日は国民の祝日の春分の日に当たりますから、天文ニュースの発行をお休みします。つぎは3月28日に発行の予定です。