【転載】国立天文台・天文ニュース(523)


 2月1日に発見された「池谷・張彗星」は、3月末に4等級の明るさに達する可能性が強まりました。小望遠鏡、双眼鏡などで手頃に見える彗星になりそうです。

 天文ニュース(521)の速報で池谷薫(いけやかおる)さんなどによる新発見をお知らせした彗星は、C/2002 C1 の認識符号が与えられました。通称は発見者二人の名をとった「池谷・張(Ikeya-Zhang)彗星」です。「いけや・チャン彗星」と読んだらいいでしょう。

 その後の観測を含めて求められた暫定放物線軌道によりますと、発見時に「くじら座」で9等であった池谷・張彗星は、その後しだいに北上して、3月に入る頃に「うお座」に入り、3月下旬には「うお座」の北部で4.0等に達すると予測されます。月の明るさがやや邪魔になりますが、日没後の西空にしばらく見えるはずです。その後はしだいに暗くなりながら、3月31日にはアンドロメダ座ベータ星をかすめてさらに北に進み、「カシオペヤ」座に達します。太陽にもっとも近付くのは3月18日の0.508天文単位、地球にもっとも近付くのは4月28日の0.409天文単位です。MPEC 2002 C-19による軌道要素と予測位置はつぎの通りです。

  近日点通過時刻 = 2002 Mar. 18.537      近日点引数  33゜.768
    離  心  率     = 1.0                   昇交点黄経  93゜.857    (2000.0)
    近日点距離     = 0.50839 AU            軌道傾斜角  28゜.033

      日  付      赤経(2000.0)赤緯   地心距離  日心距離  太陽離角  明るさ
   2002 月  日    時   分    度  分        AU        AU        度     等
       Feb. 17    0 37.15   -8 53.7    1.353     0.844      38.4     7.4
            25    0 53.32   -3 09.2    1.225     0.715      35.7     6.5
       Mar.  5    1 09.32   +3 49.5    1.082     0.602      33.4     5.5
            13    1 22.08  +12 19.9    0.925     0.526      31.5     4.5
            21    1 25.68  +22 18.9    0.769     0.512      30.4     4.0
            29    1 13.50  +33 10.6    0.634     0.567      31.7     4.0
       Apr.  6    0 40.39  +44 11.5    0.532     0.668      38.1     4.4
            14   23 36.45  +54 29.5    0.462     0.793      50.4     4.8
            22   21 41.67  +61 25.3    0.420     0.927      67.2     5.3

参照

2002年2月7日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

[天文ニュース目次] [星の好きな人のための新着情報]