【転載】国立天文台・天文ニュース(513)

織部さん、ヘリン・ローレンス彗星を検出


 鳥取県、さじアストロパークの織部隆明(おりべたかあき)さんが、9年ぶりに回帰したヘリン・ローレンス彗星の検出に成功しました。

2001年12月24日に、織部さんは、さじアストロパークの1.03メートル望遠鏡による観測で、「おとめ座」に19.5等の明るさで移動する天体を検出しました。その位置は、へリン・ローレンス彗星に対するマースデン(Marsden,B.G.)の予報と角度の2秒以内で一致し、一応、へリン・ローレンス彗星検出の可能性が高いと判断されました。

 その後、2002年1月11日に、ハンガリー、ピスケステト(Piszkesteto)観測所の0.6メートル、シュミットカメラによって、サーネッキー(Sarneczky,K.)たちが、まったく独立に、同一と思われる天体を20等で検出しています。それだけでなく、約1年前の2001年1月11日に、ハーゲンロザー(Hergenrother,W.)たちがキットピーク、スチュワード天文台の2.3メートル望遠鏡により「しし座」の推定位置に21.5等の恒星状天体として観測していることもわかりました。それぞれの観測が一夜のみでしたが、これらの観測によって、織部さんの検出した彗星(P/2001 Y1)が、へリン・ローレンス彗星の回帰であることが確定したのです。

 へリン・ローレンス彗星(P/1993 K2 Helin-Lawrence)は、ヘリン(Helin,E.)とローレンス(Lawrence,K.)が、1993年5月17日に、パロマー山天文台の0.46メートル、シュミットカメラの写真から、16.5等の明るさで「へびつかい座」に発見したものです。周期9.45年の周期彗星で、1993年6月30日に約3天文単位の距離で近日点を通過、1994年8月まで観測されていました。発見後、今回が初めての回帰です。

 今回の近日点通過は、いまのところ2002年12月22日と計算されています。近日点距離が3.11天文単位もあるので、非常に明るくなることはなさそうです。

参照

2002年1月17日 国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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