【転載】国立天文台・天文ニュース(509)
月の満ち欠けの状況をみると、この12月は、1日が満月で、さらに30日も満月であることがわかります。このように、ひと月のうちに満月が2回あるとき、2回目の満月を「ブルームーン」と呼ぶことがあります。さらに、特別の因果関係があるわけではありませんが、12月30日には半影月食が起こります。
月の満ち欠けは、平均すると、29.5日を周期として繰り返されます。一方、各月の長さは、2月を除けば30日であったり31日であったりしますので、月の初めに満月になると、その月の終わりに再び満月が巡ってくるのは当然のことといえましょう。
この「ブルームーン」は、どのくらいの頻度で起こるのでしょうか。
1991年から2010年までの20年間を調べてみると、そのうちの8年で「ブルームーン」が起こります。このうち、1991年と2010年には、同じ年のうちに、1月と3月の2回「ブルームーン」があります。したがって20年間のブルームーンの回数は10回です。前回、「ブルームーン」に月食が起こったのは1991年1月30日で、このときは、今回と同じように半影月食でした。ただし、この月食は日本の多くの地域では見ることのできないものでした。次回は2018年1月31日の「ブルームーン」に皆既月食があり、晴れていれば日本全国で見ることができます。
「ブルームーン」という言葉は、天文の正式な用語ではなく、定義がはっきりしません。辞書を見ても、「ひと月に2回満月があるときの2回目の満月のこと」という記述は見つからず、たいていは「大気のちりの影響で青く見える月」と説明されています。また、月が青く見えるのはあまり頻繁には起こらないことから、「ブルームーン」は「めったに起こらないような珍しい出来事」の意味で、慣用句として使われることが多いようです。
いずれにしろ、このときなにか特別な現象が起こるわけではありません。「ブルームーン」を観察しても、いつもの満月と特に違うところがあるわけではありません。
2001年12月27日 国立天文台・広報普及室