【転載】国立天文台・天文ニュース(504)

小惑星によるポルックスの星食(続報)

天文ニュース(502)でお知らせした小惑星パンドラによるポルックスの星食は、観測できる地域が既報の北関東から大きく北にずれて、北海道で観測できる見通しになりました。

 前回の天文ニュースを出したすぐ後に、IOTA(International Occultation Timing Association)から、より精度の高い計算結果が手に入りました。それによりますと、星食の中心線は前回のお知らせより600キロメートル以上北になり、北海道を通る見込みです。時刻もわずかに早まっています。

 この星食の中心線は、2002年4月7日18時41分(日本時)過ぎに、積丹半島神威岬近くから北海道に上陸し、札幌市と支笏湖の間を通ってから、ほぼ南の海岸線に沿って進み、襟裳岬のすぐ北で太平洋に抜けます。その間約20秒です。その線の両側でそれぞれ30キロメートル余りの幅がこの星食の見える範囲です。この中には札幌市が含まれます。

 しかし、この予報の範囲が絶対に確実というわけではありません。小惑星パンドラの位置精度は天球上の角度で0.05秒以内といわれています。このときのパンドラの距離は地球から2.62天文単位ですから、0.05秒のずれは地球上で95キロメートルに相当します。したがって、食の起こる範囲が、南北に70から80キロメートルくらいまで外れる可能性もあります。すると、北は旭川、南は函館くらいまでが、ひょっとすると星食が見えるかもしれない範囲になります。

 本当にどの位置でこの星食が確認できるのかは、観測するまではわかりません。たった5秒ほどポルックスが突然消えるというだけの現象ですが、観測、研究の立場からは、なるべく広い範囲で見てもらって、この星食が起こったか、起こらなかったかを確認してほしいものです。

参照


小惑星1998 WT24が地球に接近

 この12月16日に、小惑星1998 WT24が「ぎょしゃ座」付近で地球に約180万キロメートルにまで接近します。このときには9等くらいの明るさになるはずです。この距離は月までの距離の約4倍で、かなりの接近といえましょう。もちろん衝突する可能性はまったくありません。過去には、1994年12月9日に1994 XM1が約105万キロメートルに、1993年5月20日に1993 KA2が約150万キロメートルにまで接近した例などがあります。

2001年12月13日 国立天文台・広報普及室


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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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