【転載】国立天文台・天文ニュース(275)
岡山県,津山市の多胡昭彦(たごあきひこ)さんは、7月13日に撮影した2枚の写真から、「わし座」に8.8等の明るさの新星らしい天体を発見しました。この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏によって国際天文学連合に通報され、新星であることが確認されました。精密な位置は、
赤経 19時07分36.90秒 赤緯 +12゜ 31' 26.2" (2000.0)
と、求められています。「わし座」のアルタイル(牽牛星)から約11度西、「わし座」のツェータ星(3等)から1度あまり南の付近です。
日本人による新星の発見は、今年の4月25日に山本稔(やまもとみのる)さんが発見した「いて座新星1999」以来3か月ぶりです。また多胡さんは「へびつかい座新星1994」を発見した実績があり、2個目の新星発見です。一方、多胡さんは彗星発見が多く、これまでに多胡・本田・山本彗星(C/1968 H1)、多胡・佐藤・小坂彗星(C/1969 T1)、西川・高見沢・多胡彗星(C/1987 B1)と、たくさんの彗星にその名がつけられています。直接に名がついてはいませんが、鈴木・佐藤・関彗星(C/1970 U1)の独立発見者でもあります。
いまのところ、銀河系内の新星は、年に2〜3個づつ発見されています。また、広報普及室の記録によりますと、これまでに日本人が発見に寄与した新星の数は、数え方によって多少変わりますが、新星状天体を含めて43個となっています。
参照
1999年7月15日 国立天文台・広報普及室