【転載】国立天文台・天文ニュース(263)

1999年「ほ座」新星(続報)


 国立天文台・天文ニュース (261)でお伝えした「ほ座」新星の続報です。 久しぶりの明るい新星となった1999年ほ座新星(V382 Vel)ですが、南半球からの観測で、発見翌日の5月23日午前に2.6等ほどの極大(最も明るい時期)を迎えたことがわかりました。その後この新星は急速に明るさを減じており、27日には4等台前半になっています。このペースでいくと、1週間ほどで肉眼では見えないほど暗くなってしまうと予想されます。なお、ブラジルのR. Levai氏もこの新星を独立に発見されています。(時刻はすべて世界時)

 新星は、新しい星が生まれたものではなく、天体の表面での核爆発です。したがって、爆発前の写真で同じ位置をくわしく調べてみると、元の天体がわかります。新星の位置がまだ精確でないため確定ではありませんが、ごく近くに16等台の星があるとの調査も報告されています。新星爆発によって、13等以上の増光を見せた(数十万倍の明るさになった)ことになります。

 これほど明るい新星は、1.7等まで増光した1975年はくちょう座新星(V1500 Cyg)以来24年ぶりです。肉眼で見える新星でも数年に1個程度と少ないため、数少ない観測チャンスといえるでしょう。南半球での追跡が期待されます。

情報提供 九州大学理学部物理学教室 山岡均氏

1999年5月28日          国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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