【転載】国立天文台・天文ニュース(256)
愛知県岡崎市の山本稔(やまもとみのる)さんは、4月25日(世界時)に、焦点距離200ミリのカメラで撮影した写真から、「いて座」に8.9等の新星を発見しました。発見の報告が確認されて、この新星は、「いて座新星1999」と呼ばれることになりました。八ケ岳南麓天文台の串田嘉男(くしだよしお)さんの測定によると、この新星出現の精密位置は
赤経 18時 7分 36.22秒 赤緯 -27度 20分 13.5秒 (2000.0)で、南斗六星のすぐ南のところです。スペクトル観測から、この新星は増光してから比較的早い段階で発見されたものと思われます。
山本さんは、過去に、わし座新星1993、いて座新星1994を発見し、また、へびつかい座新星1994を多胡昭彦(たこあきひこ)さんと二人で独立発見したなどの経歴をもつ、新星捜索のベテランです。一方、日本人が新星を発見したのは、昨年6月15日、高見沢今朝雄(たかみざわけさお)さんが、へびつかい座新星1998を発見して以来、ほぼ11か月ぶりのことです。
モスクワ、スタンベルグ天文研究所(Sternberg Astronomical Institute)のサマス(Samus,N.N.)は、国際天文学連合第27委員会(変光星)を代表して、この「さそり座新星1999」に、V4444 Sgr の記号をつけたと発表しました。これはすべての変光星に与えられる一般的な記号です。
たくさんの観測者による眼視の見積もりでは、この新星の明るさは、5月3日までに、9等台から10等程度にまで落ちています。
参照
1999年5月6日 国立天文台・広報普及室