【転載】国立天文台・天文ニュース(253)
オーストラリア、ニュー・サウス・ウエールズ州のリー(Lee,Steven)は、4月16日、ムジー(Mudgee)近くでおこなわれた星まつり(Star Party)の際、口径41センチ、ニュートン式反射望遠鏡により、「コンパス座」と「みなみのさんかく座」の境界付近に、眼視で9等の彗星を発見しました。その報告にもとづくひき続いた観測によって、これが新彗星であることが確認され、認識符号は C/1999 H1 となりました。通称はリー彗星です。なお、3月に発見された C/1999 E1 はリ彗星(Li)、今回の C/1999 H1 はリー彗星(Lee)で、名はまぎらわしいですが、別の彗星です。
小惑星電子回報(MPEC)による暫定軌道要素と予測位置をつぎの表に示します。南の方にあるため、いまのところ日本からは見えませんが、5月の中頃から急速に北上して、日本でも見えるようになります。5月の末には「うみへび座」付近で北半球の空に入り、赤緯がプラスになって、明るさも7等台になる見通しです。小望遠鏡の格好の目標になるでしょう。日が沈んだあとの西空に、しばらくの時間見えます。しかし、日が経つにつれて、見かけ上太陽に近づき、観察がしだいに困難になります。
地球にもっとも近づくのは5月始めで、0.72天文単位にまで接近します。その後もさらに太陽に近づき、7月11日に、0.715天文単位の距離で近日点を通過します。ただし、これらの数値は、今後の観測によって多少変わる可能性があります。
近日点通過時刻 = 1999 July 11.421 TT 近日点引数 = 39.678度 昇交点黄経 = 161.967度 (2000.0) 近日点距離 = 0.71496 AU 軌道傾斜角 = 149.515度 日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 1999 時 分 度 分 AU AU 度 等 Apr.24 11 45.64 -63 49.9 0.814 1.604 123.4 8.6 28 10 51.33 -57 56.1 0.762 1.547 121.4 8.3 May 2 10 11.23 -50 7.3 0.732 1.490 117.0 8.1 6 9 42.69 -41 13.2 0.724 1.432 110.4 7.9 10 9 22.35 -32 6.2 0.739 1.375 102.6 7.7 14 9 7.62 -23 29.0 0.774 1.317 94.2 7.6 18 8 56.73 -15 46.1 0.826 1.260 86.0 7.6 22 8 48.47 - 9 5.2 0.889 1.203 78.2 7.5 26 8 42.03 - 3 23.4 0.962 1.147 71.0 7.5 30 8 36.85 + 1 27.4 1.039 1.092 64.3 7.5 June 3 8 32.55 + 5 36.1 1.119 1.038 58.0 7.4 7 8 28.82 + 9 11.2 1.200 0.985 52.0 7.3 11 8 25.44 +12 19.5 1.279 0.935 46.4 7.2 15 8 22.23 +15 6.8 1.355 0.888 40.9 7.1 19 8 19.05 +17 37.6 1.427 0.844 35.7 7.0
参照
1999年4月22日 国立天文台・広報普及室