【転載】国立天文台・天文ニュース(250)
4月7日に、リンカーン研究所チームが新彗星を発見しました。使用していた装置は口径1メートルのGEODSS望遠鏡で、発見時の彗星の明るさは18.9等、「おとめ座ツェータ星」の近くを西へ移動中でした。位置角355度の方向にはっきりした尾が見えると報告されています。この彗星の認識符号は C/1999 G1、通称はリニア彗星です。
国際天文学連合回報によりますと、4月10日までの観測から得られた暫定軌道と予測位置は以下の表のとおりです。近日点距離が4天文単位以上もあって、地球にも太陽にも大きく接近することはありません。以前は、発見される彗星は、太陽に近づいて明るくなった場合が大部分でしたが、観測技術の進歩によって、最近は、この例のようにあまり太陽に接近しないまま通過する暗い彗星がたくさん発見されるようになりました。
近日点通過時刻 = 1998 Sept.22.47 TT 近日点引数 = 145.75度 昇交点黄経 = 23.07度 (2000.0) 近日点距離 = 4.3900 AU 軌道傾斜角 = 81.13度 日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 1999 時 分 度 分 AU AU 度 等 Apr.12 13 32.49 - 2 52.0 3.691 4.688 173.6 17.0 17 13 26.80 - 3 12.2 3.706 4.702 172.4 17.1 22 13 21.19 - 3 32.9 3.730 4.717 167.7 17.1
なお、機能を回復した太陽観測宇宙天文台ソーホー(SOHO)は、そのコロナグラフC2によって、4月13日に、太陽をかすめる彗星 C/1999 G2(SOHO) を発見しています。太陽近くで、約6.5等の明るさがあったということです。
参照
天文ニュース(245)で、日付変更線についてお知らせしました。キリバス、西経157度のクリスマス島にロケットのダウンレンジ局「クリスマス移動追跡所」をもつ宇宙開発事業団の麻生氏から、クリスマス島では、西側と同じ日付を使用している旨、お知らせをいただきました。これで、実質上、日付変更線が変わっていることがわかりました。お知らせ、ありがとうございました。
1999年4月15日 国立天文台・広報普及室