【転載】国立天文台・天文ニュース(228)

「ふたご座流星群」の音声観測中継


 12月13日ごろを中心にして1週間くらいの期間は、毎年「ふたご座流星群」が活発に活動します。今年は、和歌山県みさと天文台と東京大学越塚氏の協力により、この「ふたご座流星群」の音声観測中継がおこなわれます。興味のある方はお聞きになってください。

 流れ星が流れると、その飛跡に沿って柱状に大気が電離した部分ができます。この部分はしばらくの間電波を反射します。したがって、ここでFM放送の電波などが反射されて、通常では聞くことができない遠距離の放送が数秒の間受信できたりします。

 今回の中継は、京都大学信楽観測所で発信しているMUレーダーの電波を流星飛跡が反射するところを捕らえるものです。通常はただザーッというホワイトノイズの音が聞こえるだけですが、流星飛跡で反射された電波が届きますと、一瞬ポーッというような感じの音に変わります。これで流星の出現がわかるのです。こうして受信したものは、目で見える流星とは必ずしも対応しませんが、流星出現数を数えることができますし、流星数の増減もわかります。また、この観測は、曇っていても、昼間でも、観測できる特徴があります。そして、視覚障害者でも、流星出現を知ることができます。

 今回は、12月12日、13日、14日に、みさと天文台で受信している電波を中継します。お聞きになりたい方は、つぎのホームページにアクセスしてください。

http://member.nifty.ne.jp./ymisaki/

ここから、リアルオーディオによって中継を聞くことができます。なお、このホームページには、音声のサンプルや、「しし座流星群」に対しておこなった音声中継の感想もあります。あらかじめサンプルを聞いておくといいでしょう。

 ちょっと注意しておきますが、こうして受信した音は、流れ星の流れる音ではありませんし、流星が出している電波を受信しているのでもありません。人間が発射している電波が流星飛跡で反射したものを捕らえているのです。それでも流星の観測ができるのですから、たいへん興味のあることです。

1998年12月10日        国立天文台・広報普及室


転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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